2005年、フォルクスワーゲングループによって設立された新生ブガッティブランド初の市販車であり、同グループのフラグシップともなっている。2005年に非公式ながら当時世界最高速度の407km/hを記録したが、2007年にシェルビー・スーパーカーズのエアロに破られている。
この自動車を開発したブガッティ・オトモビルは、ドイツのフォルクスワーゲンが獲得したブガッティの商標権(ブランド)および製造販売権に基づいて1998年に設立された同社の完全子会社である。
ヴェイロンの名を持つモデルが世に出たのは1999年の東京モーターショーが最初であり、この時のモデル名称はEB18/4ヴェイロンであった。翌2000年のモンディアル・ド・ロトモビル(パリサロン)で搭載エンジンがW18気筒からW16気筒に変更され、現在の名称が採用されると同時に、大まかな仕様(最高出力1000馬力以上、最高速400km/h以上)が発表された。2001年には量産化にゴーサインが出ていたが、高速走行時の空力特性、スタビリティーの問題や、大型エンジンの採用による排熱の問題もあり、開発は難航していた。
正式車名の「16.4」はV8気筒×2のW16気筒+4ターボチャージャーであることを表している。ミッドシップマウントされた8.0Lの排気量を持つW型16気筒エンジンは4基のターボチャージャーにより過給され、1001馬力を発生する。厳しい冷却条件を満たすため冷却水は50L、エンジンオイルは23L必要である。このエンジンはすべて8時間のベンチテストにかけられた後、6500rpmのレッドラインで数分間回される。4輪駆動で、発進から100km/hまで2.5秒で加速し、200km/hまでは7.5秒、300km/hまでは16.7秒、0-200mは6.6秒(到達速度188km/h、CG誌計測)、0-400mは9.95秒(到達速度235km/h、CG誌計測)、そして最高速度は407km/hに達するとメーカーより発表されている。ただし最高速に達するまでには11km、そこからのブレーキングに500mが必要なため、最高速を出すには最低11.5kmの直線が必要になる。また407km/hのトップスピード時の燃費は0.8km/Lであり、100Lの燃料タンクが12分で空になり、その間の走行距離はわずか80kmである。組み合わされる変速機は7段DSG。クラッチ操作を必要としないため、日本のオートマチック限定免許でも運転できる。 フルオートマチックモードとセミオートマモードが備わる。セミオートマモードのときはステアリングホイール裏側のパドルで操作する。エンジニアリングを担当したのはイギリスのリカルド。
ヴェイロンで実際に407km/hを出すには、一旦停車して、ブレーキを踏んだ状態で専用のキーを運転席横のサイドシルに差し込まなければならない(これにより車高が最低位置まで下がり、リアウィングの水平からの角度が最低の2度まで下げられる)。加えて、全てのタイヤ及びマグネシウムホイールを新品に交換するという条件をも満たさなくてはならない。
また、高速走行する際に地上最低高とリアウィングの高さを3段階調整することができる。地上最低高はノーマルが120mmなのに対し、「ハンドリングモード」に切り替えると80mmになり、さらに「トップスピードモード」に切り替えると60mmにまで低くなる。リアウィングは油圧式で、最大にするとルーフを越えるまで上昇する。ブレーキを踏むと立ち上がりエアブレーキとなる。
2005年の東京モーターショーで生産型が正式に発表され、2006年6月からデリバリーが始まった。300台を上限として限定生産される。
たとえ300台を超える受注があっても増産することはなく、受注が300台に満たない場合でも生産期間を引き伸ばすことはないという。このうち日本への割り当ては5%の15台である。ただこれはあくまで予定ということで、もし日本で15台を超える受注があった場合、世界全体の受注が300台に満たない状態であれば販売していくとのこと。
ブガッティ・オトモビルから指名された日本の正規発売代理店(アルピナの輸入先として知られる)ニコル・レーシング・ジャパンは車両価格1億6300万円(税込)で販売開始した。これは100台単位で生産される自動車としては世界最高額であるが、日本ではこれまで4度の価格改定を経て、2009年11月以降の定価は1億7900万円(税込)となっている。最大の市場であるアメリカ合衆国でのメーカー希望小売価格は125万ドルである。
実際に購入するに当たってブガッティおよびその車のイメージが損なわれることを避けるための審査が行われる。まず日本の代理店であるニコルレーシング・ジャパンが顧客の情報を事前に確認、問題はないと判断された上、職業、購入目的等(年収審査は存在しない)の情報をブガッティ本社に送り、審査が行われる。これらの審査を通過した時点で購入の事前確認が完了し、約5千万円の予約金を支払うと、航空券(ファーストクラス)を伴った招待状が届き、モールスハイムのブガッティ本社へ招待される。そこで車の内外装、他オプション等を決め、シートの形状、サイズ、位置などオーナーに合わせ、ブガッティの用意したテストコース(サーキットや公道など)で試乗をし、納車までの間に残りの金額を支払い最終的に納車となる。本社に行かずに日本で仕様を決めることも可能である。
購入した顧客にはブガッティのオーナークラブへの入会資格があり、クラブではオーナー同士が400km/hオーバーを目指すレース等のイベントが行われる。
2007年、日本で新規登録されたブガッティは3台であった。